宝塚のオタクがジャニーズJr.主演舞台少年たちを見た話

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少年たち 観ました。
映画以来だね。

どうでもいい話を先に済ませたいんですけど、劇場の中にご飯屋さんがある異質感、すごいテンションあがる!博多座とかもそうだけど、ワクワクする!
ムラ(東京宝塚大劇場)もあるけど……くっついてるより中に入ってた方が楽しい気がする。
あと、手のひらをかざすと温度測ってくれる四角いキューブ!!地味に感動してドキドキしながら入場列にいたんですけど、周りを見てもこれにドキドキしてるの私くらいだったので、ああこれねの顔でかざしました。


第一感想が、あーーー、ここイケコなら盆が回るなぁだった(闇を突き抜けて)
ようやくわかってきたけど、小池修一郎演出で盆が回ってトップが銀橋のど真ん中来て、全員が集合して、そんなシーンをジャニーズでやると全員上裸になる。
なんか、ドリボもなってた……出てるひと当たり前に脱いで踊ってるからこっちがおかしいのかとすら思う。
でも、みんな脱いでくれる。上着、持ってるのに。
着てもいいよ。ありがとう、腹筋すごいね。どこを観ればいいか迷って階段の段数を数えちゃった。13段だね。
当たり前なんだけど、宝塚はどんなにえっちなシーンでも上裸は無いので毎回新鮮に、きゃっ!と思います……だって、突然だから……。
これが何かのメタファーでもなさそうで、桶ダンスからの流れなので、まず桶ダンスに脳をめいっぱいハテナにされた頭には難しすぎるのでした。

今回の、というか比較が映画しかわからないのですが、空が青そうなのはイッセイくんだけで他の子の空は曇っているどんよりとした重たい空気くらいはありそうでした。
ストレートプレイのような戯曲的な本だったので、わかりやすくもあり、忙しい人のための少年たち という感想にも頷けた。

宝塚の男役は本名の自分→芸名のタカラジェンヌ→公演の役と2重構造になっているが、それだと薄っぺらくなってしまうと思っていた。だから、本名の自分と偶像だった大空祐飛を重ねていくことが、なりきることがリアルだと思った。そこがぴったり重なったときが退団を決めたとき。
大空裕飛さんのインタビューの中でとても心に残った話だが、少年たち劇中のHi美はずーっとこれを感じた。
ジャニーズJr.のバックボーンを見せ続ける中から何かを絞り出すように演じる姿はその拙さが少年たちともリンクして薄っぺらくも不完全さも全部載せた舞台になる。まだ足りないけど、足りない話の中で1番のリアルに感じた。

宝塚といえばの謎ダンスはないにしても暗点ぶつ切り感も馴染みの居酒屋ののれんをくぐっているくらいの感覚になった。
太鼓は長いなとは思った。風邪引かないといいな。軽率にレーザーが使えるのはうらやましい。いつか野口先生はショーで太鼓をやりそう。

せりの中からドライアイスが吹いて上がる白い炎にピンスポが当たってる演出はすごい!ってなった。小さい劇場ならではのこういう小技をたくさん抱えてるのが好きだ。
バミリがメンカラなのは可愛いと思った。ラストシーンに自分のメンカラの前で立ち止まってるのはジャニーズならではだと思う。

少年たちの初演は1969年というアナウンスを聞きながら、ベルサイユのばら初演が1974年だから……と思い出した。
多少の演出の変化はあれど、一つの団体が擦り続けている舞台としての規模を歴史観だけ感じた。50年近く擦っているのはすごいし、50年近く擦ってこうなっているのもすごい。

宝塚オタクだというとベルサイユのばらを観たい!とよく言われるが、おすすめはしていない。
少年たちを観たい!と言われた時も、もしかしたら同じ気持ちになるかもしれない。そもそも私はおすすめの作品って言われても価値観は人それぞれだし、失敗したく無いというポリシーで舞台オタクをすることは困難だと思っているので特に答える気がない。
観たければ観りゃいいし、失敗したくないなら観なきゃいい。
その中で、私は少年たちは観てよかった、と思った。